御座の方言集     森田利一編



A B 言葉 意味(左の項目Aの○は広辞苑第六版にも見られる言葉。項目Bの◎は御座郷土史にも見られる言葉)
【か】
かー (軽い)
(蚊)
(皮)皮膚。
あばり (側張り)大敷の網を投入する固定した枠のこと。
かぁく (蚊燻べ)家の中の蚊を追い出すために雑草などを燻らせること。
かぁ (堅い)固い。
かあもち (顔持ち)顔の表情。顔つき。
かあらけ @土器を素焼きした器(小皿)。A陰部に毛のない人のこと。
@痒い。かゆい。A(櫂)かい。
かいがし (甲斐甲斐しい)たのもしい。
かいざい (買い菜)店で買ったおかず。(作るのが当然だった時代には買うことを蔑んだ。)
かいし (皆敷)食品を包む時に使う薄くはいだ経木。あるいは杉やヒノキを薄く削ったもの。
する (回摩る)物と物または船と船との間を擦り抜けていくこと。
がいだ 穀虫。お米にすむ虫。
かい (腕弛い)くたびれる。だるい。
いに @非常に。A期待はずれの感を持ったことを表す時にも使う。
かいはなし (飼い放し)放し飼い。
かいやま (買い山)竈を使用する時代に薪として一年間分を確保するために買った木のある山のこと。
かいよせ 冷たい海流。冷え潮。三月頃に良く発生する雪解けによる低温海流。
らす 物を倒す。
    かい カエル。
がい →<かいる>
かえ @(替え)衣服の着替え。A古くなった物を取り替える。
かえかえ (替え替え)交換又は物々交換。あるいは取り替える。
がえ →<かいる>
かおよ (顔汚し)恥さらし。面汚し。
@母様。(転じて自分の妻を指すようにもなる。)
がたたん (我が立たん)@体の自由が思い通りに動かない。A自分の意見や考えが通用しなくなる。
かかていく (掛かっていく)相手に刃向かっていく。
かかて 刃向かってこい。
かがむ →<かごむ>
かがり (G)竹で編んだ小さなかご。
(餓鬼)何時もお腹を空かしてガツガツしてる者。注→子供のことも蔑んで餓鬼という。
おする 警戒する。用心する。侵入を防ぐ。
だな (餓鬼棚)お盆にかの世から帰ってくる霊に施しを行う棚。あるいは供養を行う棚。注→供養を行うことの行事を施餓鬼という。
かきむしる 爪を立てて皮膚を強く擦る。
かきゃが 一気に駆け上がる。駈けのぼる。
かぐさん 人力で綱を巻いて舟を陸揚げする装置。
かく (霍真)夏の太陽熱で体調を崩すこと。鬼の霍乱としてよく言う。
かけ @勝負。そのことにかける。A店で後払いで物を買うこと。
かけがす 駆け回る。または至る所を走り回る。
かけちぎて 走り回って。
かけなげつ 相手と調子を合わせて楽しく又睦まじく。
かげてきた (陰てきた)@太陽が雲にかかってきた。A太陽が西にかたむいてきた。
水夫。船の乗組員。
  (屈む)腰と膝を曲げて低い姿勢になる。
かこよせ (水夫寄せ)元締(船主)が水夫の結成祝いを行うこと。
かざ 匂い。香り。
  かざうわば 風上。
かざしたば 風下。
ぶく (傘鉾)かさぼこ。お盆の大念仏の際に使用する飾り付けのしてある傘。
かさぶた (瘡蓋)かさびた。おでき。
かざけ (風邪気)風邪引き気味。
→<あたがし>
(炊き)船の食事を賄う人。
かじく 指先で強く抓る。つめぎる。
かしこまる (畏まる)正座する。
かしょわし 小忙しい。いそがしい。
しら (頭)海女の潜水する回数のこと。一度(一回)潜ると一頭と言う。
しん @菓子。A(我震)作物が実らず食物が不足してもだえ苦しむ(飢饉)。
米をとぐ。
年齢のこと。
かずいき お年寄り。老人。年輩者。
かずかる 濡れ衣を着せられる。人の罪を被る。
かずく (潜く)海女が海に潜る。
かずけ (託け)かこつけ。例→社用に託けて遊びに行く。
かずける (被ける)濡れ衣を着せる(かこつける)。又は他人に罪をなすりつける。
がすとー 雄のオニヤンマ。
@釣り人が魚を釣る際に使うテグスなど巻く矩形の糸巻き用具。A(河岸)船の発着場。荷揚場。
かせかせと 気が焦る様。心がいらだつ様。又はいらつく様。
かせぐ (稼ぐ)職業に精を出す。はげむ。
かせく 物を相手に借りてもそのままにして、時が来ても返そうとしない。
かぜのきがない (風の息がない)全くの無風状態。
あいて (片相手)何時も一緒に仕事をしてる相棒。
かたいきつく (片息つく)瀕死の状態である。又は喘いでいる。虫の息である。
かたが 肩が凝る。
がたぎ (蝗)いなご。稲の害虫。
かたきん (片金)睾丸が片方ない。あるいはいずれかが揃っていない。不揃い。
たぐ (傾く)かたむく。
たげる 傾ける。
かたこん 片方の頭の髪を刈った状態。
ちんば (片跛)左右対称のものが揃っていない。
かた (片面)片脇。
っぽ (片方)片一方。
かたふご 畚は二ツで一荷と言い、一ツの場合は方畚と言う。 
かたまる @多く集まる。集合する。A一丸となる。
かたがわり 交替で。交互に。
かたしごと 交互に仕事をすること。
かたらい 語り合うこと。話をすること。
かたらう 援助する。手助けをする。援護する。
かた (片端し)体に障害のある人。
  んま (肩馬)
網を染めるための染料。
かちえる (飢える)かつえる。うえる。
かちき 強く叩る。
(徒人)歩いて現場近くの浜辺まで行く海女のこと。
かちわ 叩きわる。
かつかつ 辛うじて。ぎりぎりやっと。ようやく。
づく 担ぐ。
かっこ 舟人が命綱を引くときに使用する滑車。
かっこでいく 不満を持って駆け込んでいく。
かっこむ @「掻き込む」大急ぎで食事をとる。又は口に流し込む。A(駆け込む)談判しに駆け込んでいく。
っそう (餓僧)むさくるしくして伸ばした男性の頭髪のこと。
がったばこ @使い物にならない箱。A安普請で雑な家。粗末な家。Bあばらや。古家。
かっちん ビー玉を落下させて敵の玉に当てる遊戯。
かっちんだま ラムネの玉。
っぽり →<ごっぽりと>
かつぼる 着物の裾をまくり上げる。
がてら 何かのついでに。
がてん (合点)納得。
かと カツオ。
かど 一構えの家のこと。
かと 鰹の加工所。又は鰹ぶし製造所。
ぶし 鰹節。
ぶね (鰹船)鰹専門の遠洋漁船。
ないじゅう 家族全員。
かなきりごえ (金切り声)かん高い声。
かなご 鰻の幼魚。
かなだらい (金盥)主として洗面器を意味する。
かなづち (金槌)泳ぎの出来ない人のたとえで、すぐ沈むという意味。
がに 蟹。
かねぐ 用件を言って手伝わせる。
かねこり @懐が寒い。銭がない。A体が冷える。つめたい。
がび 穢らしい。汚れ。
かぶしち 生育した茄子などについたごつごつして固くなった状態を形容する言葉。
魚を集める撒き餌。
木の切り株。
ダイダイ。
かぶ @頭。A欠損。赤字。無配当。鰹漁船などの水揚げ高とその漁船の経費と採算が合わないこと。
かぶりつく @噛みつく。又は噛みきる。A果物などそのまま丸ごと噛んで食べる。
かぶる (被る)@船が転覆する。→<まける>。A罪を被る。
おでき。
がぼ 穴。洞穴。
がぼがぼ サイズの大きすぎる衣服や履物の状態。
がぼち →<ごぼち>
がま 尻。けつ。
まう (構う)@面倒を見る。世話をする。関わる。Aちょっかいを出す。からかう。
まうな 拘わるな。相手にするな。
かまどけんさ 消防団(戦前の義誠社時代を含む)が定期的に行った火の用心のための検査。
かみ 剃刀。かみそり。
かみりぼね (剃刀骨)向こう脛。
  かみだらこ @強く叱ること。A相手に食ってかかること。口汚く罵声を浴びせること。不足・不満の数々を言うこと。
つく (噛みつく)相手に食ってかかる。又はけんかを売る。A相手の体の一部に噛みつく。
かむ (噛む)口汚く相手を罵る。又は罵声を浴びせる。
大酒飲みの喩え。あるいは五斗瓶とも言う。
がもじょもぬける (我も情も抜ける)心の支えがなくなる。希望をなくす。絶望する。
かもたる 人の面倒を見る。世話をする。
かもてきた 絡んできた。けんかを売りに来た。
かもてくる 絡んでくる。けんかを売りにくる。
ぎれ (茅切れ)少しの切り傷。
やす 嘔吐する。
がら @(柄)着物の模様。A岩盤などを粉砕した石片。
からえずき (空嘔)胃に物が入ってないのに嘔吐して出なくて苦しむこと。
からかっぽく @体格。体型。背格好。A大きい体格。
がらくた お粗末な廃品。粗品。
くる 八方手をつくして物を確保するあるいは求める。工面する。
から (空欠)一文なし。
からげる (絡げる)縛る。
物忘れのひどい人の喩え。
からっぽ 何もないこと。又は誰もいないこと。
からてんじく (唐天竺)今の中国やインド。
  がらんど @空洞。A空席が多く目立つ会場。
かりや (仮家)月経。女性が月経になるとそのことを不浄としその期間中仮り屋をしたことに由来する。
りゅーど (狩人)ハンター。猟師。
かるこべ (軽頭)頭が軽い。知恵がない。
かれこれ やがて。もうじき。もう少しで。
かわいげがささん 愛しい気にならない。
がんがらど →<がらんど>
んかん (貫々)計量。目方を測る。
んがん 缶々。容器。ブリキの容器。
んかんでり 雲ひとつない日照り。猛暑。
んぎ 特にやせてる人の体形。骨と皮だけに感じる人のこと。
んきばり (疳気張り)自分の意見を貫き通すこと。絶対に譲らない人。
かん 船内の生け簀のこと。
かんばり 硬くお腹が膨張する。あるいは無理にお腹いっぱいに食品を詰め込んでパンパンに張った状態。
かんぶね 活け船。
かんこぼし 大潮の干潮時の様子。
がんじがらめ (雁字搦め)頑丈に幾重にも縛ること(高手小手)。
んしょう (癇性)癇癪持ち。怒りっぽい性格。
かんじんべ 悪臭のきついオナラ。例→鼬のかんじん屁。
かんす (罐子)お湯をわかす釜(茶釜)。
すじばる (癇筋張る)@憤慨する。A自分の意見を貫き通す。
かんめし 未だ少し芯のある飯。
かんーぅ (間癪)かんしゃく持ち。あるいは怒りっぽい人のこと。
がん のこぎり。
かんにょ 常々考えてることを実行に移す。企む。くわだてる。
がんびつ (棺柩)死人を入れる棺。
かんんたん 天日干しで良く乾燥した状態。
かんぶくろ 紙袋。
かんぼをうしなう 体調を崩す。過労状態になる。例→体も感簿も失う。
かんらかんらゆうゆうじてき 明るく楽しく優雅な暮らし。
【き】
きーく (気配り)心遣いをすること。
すごくやせている人の喩え。
いーった (聞いた)あきれ返った時などに発する感嘆詞。例→キイーッタ、アノコノ、カッコウ、ミヨマア、ミトモナイニ(あの人の身なりを見なさい、みっともないでしょう)。女性は語尾に「やい」をつける。
きいくびれ (気草臥)いろいろと相手に気を使ってすごく草臥れる。
すちょん キリギリス科のキリギリス。
いのさぎだ 木の枝の先端。
きか (機械場)船の機関室。
きがね 遠慮。心遣い。気苦労
きが (気が振る)心が乱れる。心が苛立つ。
きがもめる (気が揉める)心が落ち着かない。 
きがやす (気が安かる)心が落ち着く。気持ちが和む安心する。
きかんき 向こう気の強い人。自分の考えを貫き通す人。
きけがしに このことを聞けとばかりに。
さく (引き裂く)布や紙を両方の手で引っ張って引き裂く。引きちぎる。→<こまざく>
きざみ キセルで吸う煙草。きざみ煙草。
きざ 粒の大きい砂糖。ざらめ。
ぎしづ 超満員。身動きのつかない状態。
ぎしみあい (軋み合い)負けず劣らず互いに競り合う。
きしょくがええ 気分がよい。気分晴れ晴れ。さわやか。
きしる 物を囓る。又は物の端を噛む。
(輾郎)小さいネズミ。
きずごろ 全身傷だらけ。
きずつ 居づらい。居心地が良くない。気遣いする。又は気まずい。
きせる 刻みたばこを吸う小道具で吸い口、ラオ、雁首の三つを組み合わせたもの。
きせろ →<きせる>
きそけ (着替え)衣服の着替え。あるいは衣服。
たか (来たか)(御座の人同士が道で出合った時の挨拶の言葉にもなっている。)
ごち 北東の風。
きたやせん 来てやらない。
っぽ 北の風。
きたる 来てやる。
きちがいび (気違い日和)一日の内に目まぐるしく変わる天候。
きづかい (気遣い)すごく気を使うこと。気遣うこと。
っさかさま 切り立っている斜面。
きっそ 険しくて狭い。(御座では急斜面をさしていう場合が多い。)
きっそ 縁起。
  ぎっちづ →<ぎしづめ>
っちにむく 衣服を全て剥ぎ取る。全裸にする。
っちらと 正確に。ただしく。
きっちんちゃ すべてを隅々まで正確に
ぎっちょ 左利き。
きてたもれ 来てください。
きとくな (奇特な)殊勝な。
きどくに たびたび。再々。
  やせん 来ていない。
来ている。
きなさい 衣服の焦げる匂い。
きなし (気なし)何事も無頓着。
きならん 気になる。気が揉める。
きばる @発奮する。力む。
きぶくれ (着膨れ)衣服を多く身につけること。
きぼく @まだ熟してない木の実。A四角四面で真正直な人。(当地区では「気ぼく金左右衛門」と言う。)
きむつ (気難しい)機嫌をとるのがむつかしい人のことを言う。
きめごと 物事を決める相談事。
きもい (肝入り)お気に入り。
もがち 性格の激しい人。負けず嫌いの人。
くらい (肝喰らい)心配や苦労をかけること。
きもをつぶす (肝を潰す)びっくり仰天する。驚く。
きもをひやす (肝を冷やす)びっくりして冷や汗をかく。
所。際。
きやせん →<きとやせん>
  きゅうくれ (急暮れ)大忙し。猫の手も借りたい程。
きゅうくれ →<きゅうくれ>
きゆうしなう (気を失う)意識をなくす。
ぎゅうと →<きゅうなあと>
ぎゅーなー →<ぎゅうなあと>
  ぎゅうなあと 力を込めて。力いっぱい。
ぎょお (仰山)多く。沢山。
きょ 今日この頃。近年は。
ぎょおてん (仰天)驚く。びっくり。
きょおくば (木置場)カマドで火を焚く薪を入れるところ。
きよる 漁網を修理する。破れを直す。
  きりいし →<きりいち>
きりいち サザエの蔕(へた)
ぎりじゅうぎ (義理順義)対人関係上守らねばならない事柄。おつきあい。
きり →<きるい>
きるい (着類)衣類。身にまとう衣。
いしゃ 綺麗者。きれい好き。
きれと 岩場の切れ間。岩と岩との隙間。
きれ @刃物。A頭脳明晰な人。
きわき 心が落ち着かない。心配。気がもめる。
きをもむ (気を揉む)すごく心配する。
きをやすめる 心を落ち着かす。気分を和ます。
んからかん 禿げ頭。丸坊主。
んだま (金玉)睾丸。
んの 昨日。
きん (斤目)重さ。目方。重量。
【く】
  (工)工数。大工や左官の作業の単位。注→一日働いて「一工」と言う。
くー 食べている。
  くいがお (食い顔)ご馳走にありつく運。
くいがわ @(食い側)食事で自分が食べる方の食べ物。A→<くいがお>
くいさし 食べている最中を途中で一時中止すること、又はその時残したもの。
くいしろ (食い代)食べる分。食費。
くいだち (食い立ち)食べ終わって少しも休まずすぐ仕事にとりかかる。
ちぎる (食い千切る)歯で物を食いきる。  
くいつ (食い詰める)暮らしが立たなくなって出来うる限り始末をして食いつなぐ。
(食う)食べ物を食べる。
ぐうたら 何をさせても駄目。又は食らいつぶし。又は愚か者。例→ぐうたら坊主。
食べましょう。
くくむ 口にものをいれて呑み込まずに含む。
くくりける (括り付ける)その人の自由を奪う。身動きのとれない様に束縛する。
くる (括る)しばる。からげる。
(絎ける)布の端を折り曲げて表に縫い目の見えない様に縫う。(針仕事をすること)
くざ 水の中に入れた物が水分を含んでふやける。あるいは柔らかくなる。
くざ 水の中に物を入れる。水に浸す。
さす (腐す)他人の欠点を見て悪口を言う。
(草屋)屋根をワラやカヤで葺いた屋根のこと。
ぐざ 崩れる。崩れ落ちる。
くじく (挫く)相手の意見をねじ伏せる。
くじっ 理屈っぽい。屁理屈を言う。
くすう →<く>
ぶる →<いきぼる>
べる (燻べる)火を燃やしても煙の多い状態にする。
ぼる すすぼる。黒ずむ。
ぐずる (愚図る)@無理を言って強制する。Aぐずぐず言う。不平を言う。
あま (糞阿魔)したたかな女性。又は強い女性。あるいはひどい女性。
ぐそお (愚僧)ぐうたら。役立たず。
くらえ (糞食らえ)相手の言い分をすべて否認したり断ったり又は応じない時に使う言葉。
くそひり @肛門。A排便。Bイズスミ。
くそっぱら (糞っ腹)非常に腹立たしく感ずる。
くそにもならん (糞にもならん)何の役にも立たない。
くそみそのように (糞味噌の様に)ぼろくそ。ぼろかす。又は無茶苦茶又はめちゃくちゃに貶す。
やろ (糞野郎)したたかな者。又は手強い様に発する言葉。
たくた ひどく草臥れている、あるいは疲労困憊していることを形容する言葉。
だめ トコブシ。フクダメ。
くだりもの 人から品物を貰うこと。おさがり。例→くだりものがあった…と言う。
くち (口開け)その物の解禁日。
くちがうなるほど 口が酸っぱくなるほど何回も何回も繰り返す言うこと。
くちごたえ (口答え)相手の言い分に逆らう。あるいは先輩や上司の意見に逆らうこと。
くぢっ (口っぽい)理屈っぽい。素直に従わない。
くちど 入り口。出入り口付近。
くちのかぁだけ (口の皮だけ)口先だけで。口で言っても実行に移さない人。
くちのかぁのかわかんうちに (口の皮の乾かぬ内に)言った後すぐ何かを行う、あるいは何かを言おうとする様に使う言葉。
くちまつ (口松)おしゃべ。口数の多い人のこと。
くちもと (口元)釣り針を結ぶ釣り糸。鉤素。
ちゃぐちゃ 整理されていない状態。
ちょおしゃ (口惜しや)情けない。くやしい。
くっきょお (屈強)強くて逞しい人。
くってかかる 相手に刃向かう。
っしょめ (嚔み)くしゃみ。鼻の粘膜がコソコソして思わず出るくしゃみのこと。
くでま (工手間)余分な手間。空手間。
くど (竈)かまど。
ぐどぐど くどくど。
する (苦にする)心配する。
くねる 曲がりくねる。
のねもでやん (愚の音も出やん)何も言えないように相手に圧力をかける、又はかけられる行為の喩え。
くびがまわん (首が廻わん)火の車。借金がかさんでどうすることも出来ないこと。
くべる 燃えてるとろにさらに薪を追加する。又は差し入れる。
餅をつく時の蒸した糯米を臼に入れる単位。甑(こしき)一つを「一くぼ」と言う。「一くぼ」は約三升。
(蜘蛛)クモ。
くもがくれ (雲隠れ)何処へ行ったか全く判断が付かない状態。人目に付かないところに身を隠すこと。
くもをつかむような (雲を掴む様な)でっかい希望の。大きい望みの喩え。
くらいつく @噛みつく。Aまとわりつく。しがみつく。
くらいつぶし (喰らい潰し)穀潰し。
くらいぬけ (喰らい抜け)お腹いっぱいに食事をとっていつの間にかいなくなる食い逃げ。
くらう 大食をする人。例→「おおぐらい」と言う。
くら 暗い
くら 真っ暗。暗闇。
わす (食らわす)拳で力を入れて殴る。
われん (喰らわれん)手に負えない。したたか者をさして言う言葉。
  (痼り)しこり。
ぐり 体内の瘤。
くる (繰る)手繰る。
ぐるに 他の者と組をくむ。行動を共にする。
ぐるり 周囲。その周り。
るんかい 来るのですか。
下さい。
れる (呉れる)人に物をあげる。くれてやる。
  ぐれんかいる @捏ね回すような海の状態。A大混乱。B大にぎわい。
(畔)田や畑の周囲の草むら。
くわ (黒鍬)公共の奉仕。
くろぽ゛たく 日焼けすること。又は日焼けしている人。
イシダイ
ぐわい (具合)@都合。A体調の善し悪し。
わす 岩場や土手を掘り崩す。又は切り崩す。あるいは切りたてる。
んし (軍師)主将の下で謀りごとを巡らす人のこと。(軍人、武人からくる。)
【け】
ーする →<あげる>
けーひゃく (敬白)お世辞。べんちゃら。阿諛追従。機嫌取り。
  嘔吐。
  がない (毛がない)漁師言葉で全くの不漁のこと。例→坊主の頭に「毛がない」ことから何もないことの喩え。
(毛も)少しも。全く。
(家子)女性のお手伝いさん。奉公人。
けぎらい (毛嫌い)大嫌い。顔を見るのも嫌。
げこいわい (下向祝)旅行の無事帰宅を祝う会合。
けしからん 承知ならん。失礼な。以ての外である。
(下衆)下品。下劣。下等。
げす 浴槽の下に敷く敷き板。
げせん 納得いかない。理解できない。又はよく判らない。
けちる 物を出し惜しむ。又は出し渋る。
けちらい (嘲笑う)馬鹿にして笑うこと。
つかれ まだ居るのか、早く出て行け。(喧嘩言葉)
っそり @気落ちする様。落胆する様。がっかりする様。A張りつめていた気持ちが崩れる様。
っちらかす 蹴散らす。当たり散らす。
  けつまげる (蹴爪げる)歩行中に誤って足先を他の物体に打ちあてる。又はつまづく。
けつわる (尻割る)なすべきことを途中で投げ出す。
げと (下等)位が低いこと。品質が劣ること。
けとけとする こちらを見たりあちらを見たり一定の方向を向いてない。
けとん (毛団)毛布。
けなり (異なり)羨ましい。
けぶ (煙たい)煙で息苦しい。
けぶがる 嫌がる。相手を避ける。
相手に話す前の言葉で、貴方あのねの意。
けんかまく (喧嘩幕)喧嘩する様な気構え。喧嘩腰。
げん →<げえ>
  げんこお (拳骨)にぎりこぶし。
げんじ 片足飛び。
けんたい 公然。大ぴら。
けんとおがわからん (見当が解らん)物の判断かのできない、又は見極めの出来ない。(その後に「人」がつく場合多い。)
【こ】
ーた (買った)
こーつと 扨と。これまでと違った何かをしょうとする時に発する言葉。
ーと 質素。倹約。地味。
こーるたんぞめ 腐敗防止のためにコールタールで染めること。
こあん (小暗愚し)少し分別のつかない人。
いか 甲烏賊。
  こい (恋々しい)強く親しみを示すお互い親しい間柄。
今宵。今夜。
こいだけ これだけ。
こいでも @来なくても。Aこれでも。例→コイデモ マダ タランカ?
こいな →<こげな>
こいに →<こげに>
  こいにも このように。こんなに。
  こいの 来なさい。(年上の男性語)
  こい こっちに来なさい。
  こい (小卑し)食い意地の張っている人。
(こい等)年下の人に使う言葉で、この者たち。こいつら。お前たち。
肥料。
たご (肥坦桶)
(業)仏教の言葉で、いろいろな行いによってこの世で受ける報い。
いらす 相手を立腹させる。
があく 腹が立つ。腹立たしくなる。
こお (口才)いろいろと理屈を捏ね廻すこと。
さらし (業曝し)恥さらし。
(郷爺)御座村当時の役場のおこずかいさん。用務員。
こおじがくれ (小路隠れ)雲隠れ。
こおしゃ (巧者)利口な人。熟練した人。
  ごおず (権端)ゴンズイ。
ごおず →<ごおず>
こおぜ (小勢)少人数。
おた 海老や蟹の甲羅。
たる 品物を買ってあげる。
ちく (剛直)@理屈っぽい。気むつかしい。又は頑固者。A強情。
こおと 質素。倹約。
ごおにやす 腹だたしい。
こおねんぼ (古年坊)古くからのその道の熟練者。
ごおば (嵩張る)
こおへとる ませている。
こおぼし (光干し)甲羅干し。天日干し。
こおもり 両者に都合の良いことを言う人。又は二枚舌を使う人のこと。
  ごおりき (強力)故人の山登りの案内人。御座地区では戦前には葬儀に際し棺を乗せる車の前側に晒しの長い布を結んでその晒しを役びとや親戚の人々が引っ張ってその先頭に立つ人のことを強力と言った。
こおるい (柑類)柑橘類。
こが 四斗入れの樽おけ。
こが @(小貝)漁獲規定の寸法に満たない貝。A(子飼)細やかに手を入れて世話をすること。
  ごかがもえる (業魁が燃える)すごく腹が立つ。怒りっぽくなる。→<むくれかいる>
ごかさんぼ すごく腹が立つ様。
こかす (倒す)
こきおろす (扱き下ろす)悪く言う。
こぎる (小切る)値切る。値引きさせる。
こきつかう (酷き使う)むごい、又は非道な働きをさせる。
脱穀する。
(御供)供え物のお下がり。
こくぞ (穀象)米の中に生息する害虫。
ごくぶ →<ごくう>
こくる 喉に食べる際に物が当たる様な感じを持つ。
こぐる くぐる。潜る。
   こげな こんな。
   こげに こんなに。このように。
こげにも →<こいにも>
こける 何かにつまずいて倒れる。
こごとに ことある毎に。
ごこく (護国芋)サツマイモの一種。
ここべ (小頭)
  ここら このあたり。この辺。
ここらへん →<ここら>
ござ (茣蓙)イ草で編んだ敷物。
鮫が神参りするという伝説の日。旧の6月25、26日。
こざった 来なかった。
ござった 来た。来られた。
こざれる (木垂れる)木の実が多くついて枝が垂れさがっている。
こじきのちゃ (乞食の茶漬け)麦飯の上に生味噌をのせてその上に湯を注いだ粗食。
こじごと (拗事)相手の話に水を差すこと。あるいは横車を入れること。
こしこしと 平然として。平気な態度で。
ごじぶんどき 食事の時間帯。
しゃ →<こしゃえる>
  しゃえる 物を作る。
こしょぐる (擽る)くすぐる。
じょ 小舟のこと。
じょっこり こじんまり。又は小さく。
こしょ くすぐったい。
じょもく (御条目)不平不満の文句を言うこと。
(抉る)@拗ねて言うことを聞かない状態。A棒などを使ってえぐる。
こすい (狡い)要領がよい。
ごすたん 船が後進すること。
こせつく こきざみに何時も体を使っている。
  こせる 植物の成長が止まる、又は伸びない。
こそげる (刮げる)深く削り取る。
こそこそと (密かに)人に感づかれない様に。
こたう (堪う)心身が疲弊する。
ごたご いざこざ。又は小競り合う様。
たつく 話し合いの纏まりがつかずに揉める。
こたま (肩馬)肩の上に子供を乗せること。
こたらにする 思うがままに弄ぶ。(嬲りこたらにする、とよく言う。)
こたらん (小足らん)分別が少し足りない。
こたま →<かたんま>
(東風)
ごちゃごちゃ かれこれと文句を言うこと。
こちゃっぽう おはじき。
こちょこちょ 脇、腕の付け根の裏側。
ごつく 時流に乗れない様。
こつき 丸い硬貨大のメンコ。
つく (小衝く)手を握って相手を叩く。
こっくりと 苦しむことなく安らかに死去する様。
こっこ 赤ちゃん言葉で、鶏。
ごっそう 先方に招待される。ご馳走になる。
こっそりと 静かに誰にも気付かれない様に。
ごったがえす @多くの人出で混雑してる。A整理してある物を上下ひっくり返して辺り一面を汚し散らかす。
ごっ 土の中に棲む昆虫の幼虫。
  ごっのきも 臆病者。
こつちゃ こちら。
ごっちゃ 種々雑多に混合している様。
こっちらと 静かに。気楽に。
こっつ 自分の頭と相手の頭がぶつかること。
こっていく (凍っていく)
こっうし (特牛)言うことを聞かない人。無精者、怠け者の喩え。
こっ (凍っている)
こっぺ おとなびている。おませである。
こっぺりと すべて。全部。
こつぼい 粒が小さい。小粒の。
こっぽり 踵の高い子供用の下駄。
ごっ →<ごっぽりと>
  ごっりと あるものすべて。全部。
こでる 隙間に物を差し込んでごじる。又はこじ開ける。あるいはテコの応用をする。
ごてる 物事が拗れる。
ごとがめ (五斗瓶)大酒飲みの喩え。
ことづける ついでに頼む。あずける。
こどん 不器用。
(宿借り)海の生物で巻き貝の一種。
いだ この前に。先だって。先日。
こなす @品物を売りさばく。A魚を三枚にさばく。B仕事をしまわす。相手の注文をさばく。
こなれ さつま芋の小さいものを言う。
こなれる @呑み込んだ物が胃の中で消化する。A固ぐるしい人の角がとれて人間としての丸みが身に付く。
こにがら (小に殻)殻の小さい物。例→こにがら海老。
こぬけとる (小抜けとる)思慮が少し足りない。
くる (捏ねくる)捏ねまわす。いじる。なぶる。くじる。収拾がつかない方向に仕向けること。
(捏ねる)@人の話に水を差す。A物を捏ねまわす。又はかき回す。
このとってに この機会に。この際に。このついでに。
  このわた なまこの内臓。
こばて 少し小さい。
こばまれる 嫌われる。拒まれる。
こばる (配る)@配る。配布する。A割り当てて渡す。B広く行き渡らせる。
こびこび @ちんびり。始末をする人。A切りつめた生活をする人。
こびしゃく (小柄杓)@小さい柄杓。A子供や半人前の者に対する蔑称。
こびっちょ 特に小さい。
こびら イワシの一種。
@(焦がす)飯を焦がす。お焦げ。A朝食と中食の中間食。
  たん 瘤。
頭。こうべ。
こべり 船の外はん。船の外側。舷の上端材(安定感のない所を指している)。 
こぼこっこ あかぬけのしないこと。
  ごぼ (首打)落とし穴。
ベラ。
こまごと (細事)ささいなこと。
  こまざく (細裂)小さく千切る。
こましゃくれた 生意気な。
ごますり (胡麻擂り)おべっかを言う人。お世辞を言う人。相手の機嫌取り。
こませ 撒き餌。
こまたとり 相手の言葉尻を取ってあれこれ言う人のこと。
こまにまわす (独楽に回す)人をこき使う。又はその人を自由にあやつる。
こまめ 何時もこつこつと働いていること。
(小丸)うどんを入れる漆塗りの丸い器。又は曲げ物。曲げ箱。
こみ (込み)@一括すること。A正味と風袋を共に計ること。
ごみごみと 足の踏み場もない程散らかしてる様子。
こみしお (込み潮)満潮に向かう潮。
こみじゃ 細かく潰すこと。粉々。
(込みで)@一括して。A正味と風袋を共に計って。
こみみにはさむ (小耳に挟む)人の話を耳にする。
(込む)すごく込んでいる。混雑している。
こめじ 小さいこと。
こめをかす お米を研ぐ。洗う。
こもじろ 子供。
こもる (籠もる)神社や仏道の籠もり堂で夜明けまで願いを叶えて貰う様に籠もってお祈りをする。
相手に声をかける時に使う言葉で、これは。例→オイ コヤ ナンゾイ?
こやろ (小野郎)子供。やんちゃ坊主。
こやし 肥料。堆肥。
こようきき いろいろと使う用途の多い用具。
こらいたる (怺えて遣る)許してやる。勘弁してやる。
こらいたやせん 絶対に許さない。
こらら 子供ら。子供たち。
ごりごりと 体を惜しまずよく働く人。
ごりる 懲りる。こりごり。こりはてる。
@(凝る)肩や腰が凝る。またはうずく。Aそのことに凝り固まる。熱中する。
ろすけ フクロウ。
ごろはち 大きい。例→ごろはち茶碗。
イワシ専用の生け簀。
こん 年したの人が年上の人に使う言葉で、来なさい。
こん 年上の人が年下の人に使う言葉で、来い。→<こんかい>
こんこの 米のご飯。
こんじょくさり (根性腐り)意地腐り。根性が腐ってる。悪い根性の持ち主。
今度は。この次は。
ごんぼ (牛蒡抜き)
ごんめごんにゃく 種々雑多。色々様々。

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